新世紀カノンゲリオン。それを書くことになったきっかけは、本当に些細なことだった。
 修士論文を書く傍ら、気晴らしにエヴァキャラにカノンキャラをあてはめていくと、これが面白いほどにあてはまることあてはまること。
 祐一=シンジ、名雪=アスカ、あゆ=レイ……まあ、性格的にも描写的にもアスカと真琴は同一人物じゃないかという説からは遠ざかったが、メインヒロインにさすがに真琴を使うわけにもいかず、こういうことになった。
 カノンキャラだけでは手が足りず、エアキャラにまで出てきてもらったのも愛嬌というものだ。
 ちなみに使徒の名前についてもかなり凝ってみた。かなり被っているものがあることに気づいた方もたくさんいらっしゃると思う。
 イロウル=ウグゥル、アラエル=ソラエル、アルミサエル=アリクイエル、タブリス=シオリス、といった感じだ。
 ちなみにソラエルは最初、ケロピエルの予定だった。けろぴーにハレルヤを『け〜ろけろっ!』と歌ってもらう予定だったが、最終的にそらに持っていかれてしまったのは悔いが残る。
 ちなみにサンダルフォン=セバスチャンについてはいまさら言うまでもないと思うが、鍵系ではなく葉っぱ系だ。第10話の各所にそうした記述があることを読み取ってもらえると嬉しい。

 この小説は修士論文の片手間についつい書いていってしまったのだが、1月の締め切りまでに第10話あたりまでは書きあがっていた。それだけでもテキスト300k以上あるはずなのだが、いったい自分は修士論文も書かないで何をやっていたのかと、今さらながらに、思う。
 勢い、今年の1月最初の水曜日から毎週アップしてきたが、まさか最後まで一回も休むことなく続けることができるとは思わなかった。
 ひとえにこんな作者に応援のメールを送ってくれた人たちのおかげだと感謝している(ならそんなに尊大ぶった言い方するなとかいう突っ込みはなし)。
 エヴァンゲリオンはいいアニメだった。今でもよく最初から見直したりしている。
 自分はアニメではエヴァ、銀英伝、KAIKANフレーズ……こういったものは自分で保存しておいて、何度も繰り返しみているのだが、それでもエヴァは別格である。
 本当は、エヴァの二次創作小説が書きたかった。
 でもエヴァの二次創作は冗談抜きにレベルが高い。そんなところに自分が足を突っ込む気にはなれなかったし、他者の影響を受けた二次創作を書くことにさほどの意義を感じられなかったことも事実だ。
 だからエヴァの世界観だけを借り、そこに他キャラをあてはめてていくというスタイルで今回はこの小説を書き上げてみた。
 書いてる途中でプロットを書き換えたりしたせいで、最初と最後とで話が食い違っているところもなくはないが、そうした矛盾は自分が気づく限りで全て修正したものを、劇場版としてここに紹介している。

 苦労はいろいろあった。
 ご承知のとおり、なんといってもカノンゲリオンは24話がキーになっている。
 自分が書きたかったのはなんといっても19話で祐一が暴走するシーンと、24話で祐一と栞がいちゃいちゃするシーンだった。
 そのせいもあり、24話が終わったときに劇場版はいつかまた機会を見て、という意識が自分の中にあったが、意外にもメール、掲示板などで何件か『つづけてほしい』と要望があったため、続けることにした。
 それはいいのだが、24話を書き上げてしまった自分には、この作品を完結させるという作業があまりにも辛いものになっていたことに、このときようやく気づいた。
 24話、TVシリーズまではいろいろなお遊び要素もあり、書いている方もシリアスとコメディが半分ずつくらいで書きやすかったのだが、劇場版は全てシリアス。はっきりいって書きにくい書きにくい。
 劇場版を書いてる途中でもプロットが再変更となったため(書いてる途中で設定変えるのは悪い癖だな……)、多分に分かりづらい劇場版となってしまったことは悔いが残る。
 悔いは残るが、もともと劇場版エヴァもわけわからないし、まあこれくらいが丁度いいのか……とも思う。
 少なくとも振られてある伏線には全て決着をつけたし(佐祐理と舞についてはもっと何らかの形で結果を出してあげたかったが)、謎ときは全て完結している。
 まあ、小説を書く苦労など、仕事の苦労に比べたら些細なもの……というか、望んで引き受けたいものである。

 最終話にさきだち、カノンゲリオンのイメージアルバムについて曲目をリストアップした。
 エヴァは音楽においても高品質を保っており、劇場版で流れる英語詞の歌なんかは非常に大好きである。
 それをそのまま使ってもよかったのだが、できるだけ曲はエヴァ以外のものを使いたかった。
 MALI氏の『三声のカノンとジーク』については少々やり過ぎかと思ったが(……著作権違反で訴えられたらどうしようかと思いながらも全文打ち込んでしまったオロカモノは私だ)。
 やはり好きなロックバンド系から多く選曲されることになったが、どれもこれもいい曲ばかりなので是非聞いてもらいたい。
 特にEDで流れている(私の頭の中ではがんがんに鳴り響いている)Gackt氏の『再会 〜STORY〜』については絶対、聞きながら読むこと。現実世界に戻ってきたあとの話については、私はこの曲をえんえんリピートさせながら書いた。この曲のイメージをふんだんに盛り込んだつもりである。是非聞いてほしい。

 カノンゲリオン。
 二次創作でこれほど長い話を書くことはもうないだろう(テキスト1Mbあるからな……)。
 これにつづいて『アカボクゲリオン』とか『スターゲリオン』とか考えなくもなかったのだが、さすがにこれ以上は限界だ。私の創造力にも限界がある。
 もし、次に二次創作を新しく始めることがあれば、普通にエヴァンゲリオンを書くのではないかと思う。
 これだけ長くカノンゲリオンを書いてきたが、私にはまだ書き残したものが一つあるのだ。
 祐一、暴れ足んねえ……(寒)。
 実際に喧嘩のあたりの描写シーンは後半はほとんど削ってしまったし(書いててつまらなかったから)。
 柳也とのバトルシーンについても、もっと長くやるつもりだったのがあっさり終わってしまったし(本当なら何人か職員殺して、名雪にも大怪我させて……という予定だったのだが、つい手加減してしまった。なんて弱気な作者/汗)。
 というわけで、悪人シンジを書くためにまたエヴァ小説を書くことになるかもしれない……ただプロットを煮詰めたときに、内容がカノンゲリオンと同じようなものなら特に書く必要もないわけで。
 現在そうなる可能性が高く、実施の見込みは薄い。
 今後は『響』と『クレセントノイズ』の完結が先になってくると思う。
 そちらの方も是非読んでくれると、嬉しい。

 最終話については、異論のある方もいると思われる。
 自分も最後は祐一を幸せにするか、それとも不幸にするか、悩んだ。
 決着としてはこのようになったが……私は基本的になんでもかんでもハッピーエンドにするつもりはない。
 物語でくらい幸せであってほしい……というのは物語全てに込められている願いだと私は考える。
 だが、そこに『現実的』ではないハッピーエンドを見ることは自分には耐えられない。
 もちろんカノンゲリオンの場合ならば、名雪が立ち直り、その過程で祐一との間に愛情が芽生えることもあるだろう。現実界にいる佐祐理や香里、美汐と恋愛関係となることもあるだろう。
 それを全てなげうった結末となったが、実はそれには伏線が三箇所に引かれてある。序盤、中盤、終盤でそれぞれ見つけることができると思う。もしよければ探してみてほしい。

 以上で、カノンゲリオンに関する全てのエピソードを終了する。
 祐一。
 あゆ。
 名雪。
 栞。
 秋子。
 佐祐理。
 美汐。
 舞。
 真琴。
 北川。
 そして、全てのキャラクターたちへ。
 ありがとう。