適格者番号:130301007
 氏名:キャシィ・ハミルトン
 筋力 −S
 持久力−A
 知力 −C
 判断力−C
 分析力−B
 体力 −S
 協調性−B
 総合評価 −A
 最大シンクロ率 25.123%
 ハーモニクス値 36.45
 パルスパターン All Green
 シンクログラフ 正常

 補足
 射撃訓練−C
 格闘訓練−S
 特記:なし。












第玖拾陸話
















 四月十五日(水)。

 四時間目は久々のシミュレーション授業。シンジはいつものように授業を受けて、その日は二勝一敗で終了した。エンの指導を受けてから、確実にシミュレーションが得意になってきている。もっとも、判断力、分析力の高い相手にはまだまだかなわないが。
 エンと二人で昼食を食堂でとる。今日くらいはコウキたちが一緒に食事をとろうとしてくるかと思っていたのだが、案外そんなこともなく静かな昼食だった。
「あ、いたいた」
 と、その二人のところにやってきたのは葛城ミサト。
「シンジくん、古城くん、今日はこの後、用事がある?」
 ミサトからの質問に二人は視線を交わす。
「いえ、特別何も」
「よかった。だったら食事が終わったらちょっと会ってほしい人がいるんだけど、いいかな」
 また、妙な命令、いやお願いだった。ミサトは上官なんだから『だれだれに会いなさい』と一言命令すればいいのに、こちらが断ってもいいような言い方をする。
「僕たちだけですか?」
 シンジが尋ねるとミサトは頷く。
「サードチルドレンに用事、って言った方が分かりやすいかな?」
 むしろエンが邪魔なのは分かっている。だが、建前としてガードの任務を外れるわけにはいかない。だから二人まとめて、ということなのだろう。
「どなたですか?」
「クローゼ・リンツ、って知ってる?」
 ファーストネームは二人とも知らない。だが、ファミリーネームの方はよく知っていた。
「リンツというと、ネルフに一番出資してくれている企業の名前ですね」
「そうよ。リンツ・カンパニー、トップの孫娘さん。可愛い子よ。まあ、スポンサーの意向だから断りにくいっていうだけのことなんだけど、できれば会ってくれると嬉しいかな」
「分かりました」
 シンジは頷く。それを聞いたミサトが「ありがと」と答えた。
「それじゃ、三時にミーティングルームC−14まで来てもらえる? 悪いけど」
「はい」
「ありがと。この埋め合わせはきちんとするわ」
「これもチルドレンの任務の一つだと思っていますから、気にしないでください」
 シンジの言葉には若干トゲがあったが、頼んでいる立場のミサトは気にしないことにした。
「いいのかい?」
 エンが尋ねると、シンジは頷いた。
「僕にできることなら」
 エンの目には、シンジがどこか無理をしているように見えた。まだあの事件から一週間。心の傷はそんなに簡単に癒えるものではない。無理をしすぎてパンクしなければいいのだが。
 だが、シンジの言っていることももっともなことではある。サードチルドレンとして注目を浴びるシンジには、渉外的な仕事も今後増えてくるに違いない。スポンサーが会うことを望んでいるのなら、それに応えるのもチルドレンの仕事だ。
 三時より十分前に、二人はミーティングルームへとやってきた。中には既に、その『来客』はやってきていた。
「Nice to meet you, Mr.Shinji」
 椅子に座っていたクローゼは立ち上がって握手を求めてきた。
 美しい女性だった。一瞬、シンジとエンの動きが止まるくらいに。何かに操られたかのようにシンジが手を差し出すと、クローゼはしっかりとその手を握った。そして英語で何かしらぺらぺらと話す。もちろん英語初心者のシンジには分からない。
 すると、後ろにいたもう一人の美しい女性が、かわりに通訳した。
「私は南雲エリといいます。クローゼ様の通訳と護衛を兼ねています。よろしくお願いします。クローゼ様はどうぞ座ってくださいとおっしゃっています」
 うながされるままにシンジとエンは席につく。
『ガードの古城エンさんですね。いつもガードの任務、お疲れ様です』
 クローゼが今度はエンに向かって言う。もちろん一度英語で発言したことを、エリが日本語に通訳して意味が伝わっている。
「いえ。それが自分の任務ですから、苦にはなりません」
『シンジさんには優秀なガードがいらっしゃると聞いていました。確かに信頼できる方のようですね』
 クローゼは笑顔で話しかける。シンジとしては言葉も違うのに、どうやって応えればいいか分からない。エリから「シンジ様の言葉は、そのままクローゼ様にお伝えいたします」と言われる。では、とシンジは尋ねる。
「僕に何か用事があったんですか?」
 尋ねると、エリが通訳する。それを聞いてクローゼが頷く。
『今の段階では用事というほどのものではありません。ただ、あなたに直接お会いしたかったのです』
「僕に?」
『はい。あなたに』
「それは僕がサードチルドレンだからですか?」
『それは間接的なことで、一番は別の理由です』
「別?」
 碇シンジという存在に、サードチルドレンや適格者としての存在価値以外に何があるというのか。
 それを尋ねてみると、クローゼはあっさりと答えた。
『私には恋人がおります。武藤ヨウ、という方です』
「ヨウ教官?」
『はい。軍曹──ヨウのことですけど、この一年、私のボディーガードをしてくれていたのですが、このたびネルフに入ることになって、離れ離れになってしまいました』
 それがいったい自分と何の関係があるのか、とシンジは表情に出してしまう。だがクローゼは気を悪くするでもなく、にこやかに笑った。
『軍曹はあなたを護衛するためにネルフに入ったのです。恋人の私を差し置いて護衛をしている相手がどんな人物なのか、ぜひ会ってみたかったのです』
 さすがにはっきりと言われてしまったら、シンジとしても謝るしかない。すみません、と言葉にした。だがクローゼは笑顔で首を振る。
『これは私の単なる嫉妬ですから、気になさらずに』
「気になりますよ。僕は二人の仲を裂こうだなんて思ってません」
『もちろんそうだったら許しませんけど』
 ぺろっと小さく舌を出す。そうした仕草も可愛らしい。
『それに、あなたのせいで引き裂かれたというわけではありません。あなたのお父様、ゲンドウおじ様からの正式な依頼だったのです。軍曹を適格者の護衛として雇いたい、と』
「父さんが?」
『はい。これから先、シンジさんはいろいろな組織から狙われるようになる。ランクBになってシンクロ率が発表されたらアメリカも黙ってはいないだろう。今後のことを考えて、優秀な護衛がほしい、と言われて名指しで軍曹を指名されたのです』
「父さんが、僕を……」
『もともと、リンツ・カンパニーの社長である私のお爺様は、今のネルフ幹部との関係が強いのです。正確には冬月のおじ様と私のお爺様につながりがあって、そこから今の関係が築かれたそうなんです。そしてネルフを立ち上げ、その司令官にゲンドウおじ様が就かれることになったとき、お爺様はネルフのために資金を提供することを快諾しました。それからリンツ・カンパニーはずっとネルフのスポンサーとして、資金を提供しつづけてきました』
 それはありがとうございますと言えばいいのか、それとも別のリアクションを期待されているのか。
『もちろん、ネルフが開発したものを我が社にも提供してくださるので、ギブアンドテイクなんですけどね。でも、おかげでリンツ・カンパニーは『使徒教』という新新興宗教団体から狙われることが多くて、私も実際暗殺されかかりました。そのとき私を助けてくれたのが軍曹でした。それからも何度か命を助けてもらっています。軍曹はこちらではどんな様子ですか?』
 どんなと言われても、シンジはここしばらくヨウに会っていない。最後に顔を見たのはドイツに行く前のことだ。ドイツにもヨウは来ていたということだったが、自分はちょうど意識を失っていたときで全く記憶にない。
「飄々としているけど、頼りになる人だと思います。それに優しいところがあります」
『なかなか自分のやっていることを話す人ではないですから。でも、軍曹が守ってくれている以上、シンジさんは気づかないところでいろいろと助けてもらっているはずです』
 確かにヨウが自分のために召還されたという話は直接聞いた。だが、具体的に何をしているのかというのは詳しく説明されていないので、よく分からない。
「じゃあ、クローゼさんはヨウ教官の傍にいるために日本へ来たんですか?」
『半分はそう。もう半分は、身を隠すために』
 クローゼが少し困ったように言う。
『私がリンツ・カンパニー代表として堂々と政府批判をしたものだから、アメリカから裏で狙われているんです。そこでゲンドウのおじ様にかくまってもらうようにお願いして、こちらに来ることにしました』
「でも、それじゃあカンパニーはどうなるんですか?」
『本社はドイツですし、私一人がいなくなっても別にカンパニーは困りません。政府からカンパニーに少し風当たりが強くなることくらいは勘弁してもらいます。ただ、CIAは私の身柄を拘束しようとするでしょうから、その前に私が行方不明にならないといけませんでした。もっとも、お爺様も、お父様もお母様も私がネルフに来ることは知っていますから、ご心配なく』
 それならまずは一安心だ。
『こちらの南雲エリという女性は』
 と言って、一度エリが咳払いする。「私のことですが、失礼」と一度断りを入れてから通訳を続けた。
『軍曹の下で傭兵をやっていた経験のある人物で、信頼のおける人です。何かあったときは遠慮なく相談してください。今回、私が身を隠すということを軍曹に相談したら、すぐにエリさんを護衛にしてくれました。おかげで信頼のおける部下を別に探してこないといけない、と愚痴ってましたけど』
 なんでも、今回ヨウがアメリカまで行ったのは、赤木リツコの護衛を兼ねた部下の確保と、恋人への顔見せだったのだという。だが、そこで恋人はテレビの中で爆弾発言。しかもそのまま日本への逃亡プランを聞かされて、万が一のためにエリを護衛役にし、自分は別の部下を探しに別の国へ高飛びしたらしい。
『というわけで、しばらくネルフにごやっかいになりますので、よろしくお願いしますね』
 笑顔で言われると、わかりました、としか返せない。
「一つ、聞いてもいいですか」
 逆に質問を返したのはエンの方だった。クローゼは嫌な顔一つせず、どうぞ、と答える。
「アメリカはいったい何故、シンジくんを目の仇にしているのか。シンジくんを現段階で殺しても誰にもメリットなんてないはずなのに」
 通訳を聞いたクローゼは少し考えてから答えた。
『ベネット大統領は、もともとネルフやエヴァンゲリオンという対使徒決戦兵器に対して否定的な立場の方でした』
「否定的?」
『そうです。二〇一二年に行われた合衆国大統領選挙でも、そこが一つの争点になった。当時はまだエヴァンゲリオンを操縦できる人材が見つかっていなかったから、そんな無用の長物にお金は出せないと、はっきり言い切った方です。ネルフ関係者は誰もベネット大統領には投票しなかったでしょうけど、アメリカ経済再生のための予算改革、とりわけ国連への分担金を減らすと言った大統領に支持は集まりました。アメリカの大統領選が、一年以上にも渡って続くのはご存知ですか?』
 いいえ、とシンジは首を振る。エンも「多少は」と答えたものの、詳しくは分からない。
『まず、アメリカは大きな政党として民主党と共和党という二大政党があります。それぞれの党から立候補者を出すために、アメリカの全州において、立候補者を決める予備選挙が一月から六月まで、各地で行われていきます。前回の二〇一二年占拠のときは、予備選挙の段階ではまだエヴァンゲリオンのパイロットが見つかっていなかった。そのため民主党ではエヴァンゲリオンとネルフに否定的なベネットに票が集まり、見事に立候補者となりました。ですが──』
「綾波レイさんがパイロットとして登録されたのが、二〇一二年の八月ですね」
『そうです。本選挙前にパイロットが子供限定となることが発表され、ネルフは世界規模で適格者の募集を行った。共和党出身の前大統領はここに予算を配分、アメリカに支部を二つ準備させ、国連における発言権を高めようとしました。そして、国連との協調姿勢をとっていた共和党の立候補者も、前大統領の政策を受け継ぐことを表明した。そうなると、もうベネットとしては自分の道が決まります』
「つまり、あくまでも国連否定、ネルフ否定ということですね」
『はい。前大統領が行った政策を否定はしない。ただ、国連への分担金はなるべくおさえ、経済再生を進めるべきだという考えを示し、結果的には僅差でベネット大統領が当選したものの、当初楽勝と見られていた大統領にとって、僅差の勝利は不満だったでしょう』
 結果として、大統領にとってネルフはあまりありがたくない存在になった。もともと否定的だったのが、選挙によって敵対的になってしまった。
「じゃあ大統領は、シンジくんを殺してしまうことで」
『はい。エヴァンゲリオンという枠にとらわれることのない、アメリカ中心の政治・軍事システムを整えたいというのが大統領の考えです。だからネルフに対して協力体制をとらなかった。アメリカネルフは、本当に国から孤立した存在です。運営は国連とはいえ、ほとんど独自に動く民間企業といってもいいくらい。だからこそ今回のような事件が起こってしまったのでしょうけど』
「今回の事件、原因は新しい動力装置のテストだって聞きましたけど」
『事実です。S2機関の搭載実験を行ったとのこと。まだ実験どころか、開発途中のものをのせれば事故だって起きます。それをチェックする機能がアメリカにはなかった。完全に現場の独断で行ってしまった』
「そのS2機関は、完成したらすべてのエヴァンゲリオンに搭載されるんですか?」
『事故が起こらないだけのテストをして、安全性が確認されれば搭載されるでしょう。ですが今回の被害を見ればお分かりかと思いますが、S2機関の実験はおそらく凍結されるでしょうね。理論としては間違っていなかった。問題は安全性の強化だったのに、それを怠り、しかも事故まで起こしてしまった。研究・開発チームはさぞ残念でしょう。完成まで後一歩のところまで来ていたのですから』
「でも、パイロットを危険な目にあわせるようなシステムなら、必要ありません」
『危険なのはエヴァンゲリオンも同じです。本部でもきっと、シンクロ過多で精神的にダメージを受けた適格者はゼロではないでしょう。そもそもお二人は、エヴァンゲリオンのコードネームをご存知ですか?』
 それは前にエンから聞いたことだった。シンジは頷いて答える。
「アナザーXのことですか。物体Xに対抗できる人造人間だからそう呼ばれるようになったと」
『はい。それは表向きの言い回しで、実際のところは別に理由があります』
 Xに対抗するのでなければ、いったい何だというのか。アナザー=もう一つの、ということは、つまり。
 まさか、いや、だがしかし。
「もしかして」
 エンが割って尋ねた。
「エヴァンゲリオンが、使徒から作られている?」
『イエス。エヴァンゲリオン開発はもともと、使徒の体細胞を研究するところがスタートとなって行われたのです。そして使徒のような力のあるものを人間が制御できれば、使徒と互角に戦うことができるだろう、というのが根本理念です』
「使徒の、体細胞!?」
 さすがに二人は驚きを隠せない。いったいあの使徒の体細胞をどうやって手に入れたのか。そしてどこで、どのように研究が行われたのか。そんなことは全く明らかにされていない。
『ごく限られた人間にしか知らされていない事実です。アメリカネルフにこの事実を知る人はいません。リンツ・カンパニーで知っているのは私と祖父の二人だけ。おそらく本部でも、指折数えるくらいしかいないでしょう』
「そんな情報を、どうして僕たちに」
『もちろん、軽々しく他に言いふらさないと信じています。本当は、ガードのエンさんには同席してもらいたくはなかったのですが』
「僕はシンジくんが他の誰にも言わないと決めたら、絶対に誰にも言いません」
『ありがとうございます。ただ、シンジさんには知っておいてもらいたかったのです。Anotherのオリジナルに乗るのですから』
「オリジナル?」
『はい。エヴァンゲリオン初号機は、Another、すなわちエヴァンゲリオン全ての原型です。従って、使徒の影響が何よりも強い。既にご存知でしょうけど、美坂シオリさんの実験も、その影響力を弱めるために行われたもの』
 知らないところで、いろいろな事実がうごめいている。
 それなのに、今まで自分は何も知らされないでいた。
「どうして、僕が」
『理由は分かりません。ただ、シンジさんと美坂シオリさんの二人だけが、Anotherと完全に適合していた。だからネルフはシンジさんのために全ての準備を整えたのです。二月にランクBになったのも、三月にランクAになったのも、すべてはMAGIにそのようにプログラムしてあったからです』
「僕の昇格は、最初から決まっていたっていうんですか?」
『イエス。それを決めたのは他ならぬ、あなたのお父さんです』
 それは分かる。エヴァンゲリオンのことで何をするにも、碇ゲンドウを無視して進められることはない。
「使徒の体細胞はどうやって手に入れたのですか?」
『さすがにセカンドインパクト当時のことは、私も生まれたばかりのことですから何も知りません。ただ、太平洋に沈んだ方の使徒に関係していることだけは予測がつきますけど。その体細胞を使って対使徒決戦兵器を作ることを提唱したのが、使徒戦のために結成されたネルフの最高責任者であった碇ゲンドウ氏です』
「父さんは、それができる自信があったの?」
『さすがに私もそんなに深く話したことはないんです。ただ、ユイおばさまが使徒体細胞の研究をなさっていて、その研究結果をもとにしてエヴァンゲリオンの提唱をしたのはうかがっています』
「母さんの?」
『はい。ただ、申し訳ありません、本当にそのあたりのことは詳しくは知らないんです。私はネルフに協力するという祖父の考えに共鳴し、祖父の手足となって動くようになってから、初めて知らされたことばかり。私の知っていることは、おそらく祖父やゲンドウおじさまにとって本当に些細なことばかりだと思います』
 クローゼは、ちらり、と時計を見た。
『けっこうな時間になってしまいましたね』
 気づけば六時。通訳を介しながらだったため、意外に長い時間が経っていたようだ。
『私はしばらくネルフにおります。私もシンジさんに聞きたいことがありますし、この話の続きはまたいずれ、ということで』
「はい。僕も、もっといろいろと知りたいです」
 自分の両親がいったい何を考え、何を成そうとしているのか。それすら知らずに、自分は安穏としていられない。
『軍曹のおっしゃったとおりですね』
「?」
『かわいらしい方です。私も、シンジさんが好きですよ』
 エリからの通訳だが、美人のクローゼに言われると、さすがに照れる。もちろん、相手はヨウの恋人。特別な意味があるわけでないのは分かっているのだが。
『ただ、それだけに心が苦しいです。シンジさんには、一番危険なところを受け持っていただかなければならない。私たちはシンジさんがきちんと生き残れるよう、全力でバックアップいたします。ですからどうか、エヴァンゲリオンをよろしくお願いします』
「分かっています。僕だって、やらなきゃいけないことが何かくらいは分かっているんです。もうすぐ初号機の起動実験もありますから、それが終われば、もう少しいろいろ分かることも増えてくると思います」
『はい。どうか、くれぐれもお気をつけて。特にアメリカには。エンさん。シンジさんのガード、よろしくお願いいたします』
「はい。僕もシンジくんのことが大好きですから。絶対に守ってみせます」
 そうして、お互いに握手をしたところでこの会談は終わった。
 新しいことが分かると、さらに分からないことが増える。それが今日一日で分かったことだったといってもいいのかもしれない。






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