一行はそのまま鉱山に入る。
 内部の状況はローディは全て分かっている。もともとイブスキに仕えていたのだから当たり前のことだった。それどころか秘密の抜け道をいくつも知っていて、洞窟に住み着いているゲ神と戦うことも回避できた。
 不思議なのはガイナスターだ。彼は協力はしないと言っておきながら自分たちについてきた。理由を聞くと「また逃げられたのではたまらない」ということだったが、要するにウィルザのことを気にしているのだろう。素直ではない男だ。
「イブスキ殿下はあのクーデターのとき王城から脱出されました。あれから一年。たくましくなって帰られたのはよかったのですが……」
 そこでローディは詰まる。確かに肉体的には強くなって帰ってきたのだろう。だが、精神的には大きな病気を抱えてくることになった。彼は、アサシナの正統なる王、という地位にこだわっている。そのこだわりをなくせば、悪い王にはならないだろうに。
「君の口から言うのは辛いかもしれないけど、五世の政治というのはどのようなものだったんだい?」
 尋ねるのは少しはばかりがあったが、聞かないわけにはいかない。過去の因縁がこれだけ深く根を張り巡らせているのだから。
「正直、私の目から見ても、厳しい政策でした。典型的な絶対王政です。ガイナスター陛下もおっしゃいましたが、クーデターが起こらない方が不思議な状態でした。私が必死にクーデターを防ぐために奔走していたのです。五世陛下の勘気に触れて処刑されたのは一年間で五十人は出ました」
「五十人」
「一週間で一人の割合です。知っている顔が徐々に減っていくのは私ですら恐怖があります。私はご恩がありましたから、陛下のお味方を増やすように努力したのですが」
「当のお前も粛清の対象になりかけてたんだろう?」
 横槍を入れたのはガイナスターだ。さすがにそれは、とウィルザが言葉を止めようとしたが、当のローディが苦い表情で反撃しない。それは事実であることを示していた。
「陛下が私を訝しむのは当然のことです。現実に私は多くの裏工作をしましたから。それが陛下の望む方向でないのなら、私はこの命を差し出すつもりでした。もともとこの命は陛下にいただいたようなものです。陛下が死ねというのなら、私は喜んで命を投げ出すつもりでした」
「これだけ忠実な部下がいながら使いこなせなかったのが、国王としての限界だな」
「その通りです、王」
 ローディは『陛下』と言わずに『王』と言った。それはつまり、ガイナスターも国王ならば国王としてきちんと活動しているのかという問いかけでもあった。
 ふん、とガイナスターはそっぽを向く。やはり素直な男ではない。こうした子供っぽいところも含めて、ウィルザはこの男が気に入っていた。なんというかこの男は、あまりにも人間臭いのだ。
「ウィルザ様も、私が忠誠を誓うに足ると信じたからこそ、私はあなたにお仕えすることにしたのです。もし期待を裏切るようなことがあれば、私はもう何にも縛られることはありません。いつでもあなたの前から立ち去りますから、そのおつもりで」
 部下には主君を選ぶ権利がある、というのだ。最愛の主君である五世を失ったローディにとっては、この先誰に仕えるのも変わりはないと考えているのだろう。
「ああ、肝に銘じておくよ」
「はい。ではウィルザ様、この先です。そして、先ほどの通りに」
「ああ。サマン、協力を頼む」
「もちろん」
「悪いけど、ガイナスターも」
「ああ。このまま巻き添えを食うのも嫌だからな。多少は手伝ってやる」
 頷いて、地下洞窟の広間に飛び出す。
 そして倒れている大神官ミジュアにかまわず、その周りにあるゲ神の像を先に破壊する。
 ローディの言うところでは、この像はミジュアの見張りで、逃げようとした相手を攻撃するようにできているらしい。
 だが、像を破壊した音があまりにも大きく響き、何事だ、と見張りがやってくる。
「大神官様、お助けに上がりました」
「おお、ローディか。助かった」
 だがローディは大神官の言葉に答えず、すぐにその拘束を解く。相手は自分をただ信頼している。それを一度でも裏切っているのは気が重たいだろう。
「すぐに脱出します。足は大丈夫ですか」
「ああ、怪我はない。ただ拘束されていただけだ」
「では」
 そして五人となったメンバーが動き出す。見張りの兵をウィルザとガイナスターが仕留め、真ん中にローディとミジュア、後方にサマンがついた。後ろを確認しながら逃亡するのは彼女が一番適している。
「ほう、まさかお前が裏切るとはな、ローディ」
 だが、その先に待ち構えていたのは、世界記で見たあの男であった。
「アサシネア・イブスキか」
 ウィルザが尋ねると彼は肩眉を上げた。
「王に対する態度がなっていない男がいるな」
「この国の王はアサシネア六世だ。先王の子を詐称するお前は何者だ」
「詐称だと?」
 相手を挑発するつもりの言葉にまんまと乗る。底の浅い男だ。
「あのクーデターで、命からがら逃げ出したこの俺を、偽者だというか!」
 さすがに元王子。その気迫はたいしたものだった。
「ローディよ、貴様の忠誠はどこへ行った。貴様は我が父によってその命を助けられたのではなかったのか!」
「そうです、イブスキ様。私は五世陛下によって助けられました。イブスキ様、あなたではありません」
 明確な拒絶。その言葉にイブスキは顔を赤く染め上げる。
「さらに言うなれば、イブスキ様は私がお傍にいるのが当たり前というふうに思っておられるようですが、私は自分の意志で自分の主君を決めます。私が五世陛下に仕えていたのは、五世陛下が私を必要だとおっしゃってくださったからです。ですから私は、私を必要としてくださるところへ参ります」
「俺がお前を必要としていないというのか」
「必要としている、していないというのは言葉の問題ではありません。自分を信頼してくださっているかは態度で分かります。イブスキ様は決して私を信頼してくださっているわけではありません。ですからあなたの下を去るのです」
「よく言った。裏切り者めが。この俺をたばかり、あまつさえ父上の意思までもを欺く悪党が!」
 完全な決裂を見たイブスキは続けてウィルザの隣にいるガイナスターを見た。
「ふん、同じゲ神を崇める者同士、ウマがあうかと思ったが、結局は裏切るか」
「一つだけ言っておくがな、イブスキ」
 だが、気迫ならばこの男とて引けは取らない。何しろ現ガラマニア王だ。
「俺は国王で、お前はまだ国王になっていない、ただの元王族だ。相手に対する態度がなっていないのはむしろお前の方だな」
「辺境のガラマニアの国王ごときが、大アサシナの王族と同列だと思うか!」
「出たな、本音が。ま、俺も別にお前のことは信頼しちゃいなかったから問題はないがな。それに、俺がお前と別れたのはそれが理由じゃねえ」
「何」
「この男を確実に俺のものにするためだ。お前と手を組むより、こいつを仲間にした方がこの先有意義だと俺が判断したからだ。つまり、お前には価値がないってことだ」
 ぐい、とガイナスターがウィルザの腕を引く。一国の王にここまで言ってもらえるのは感謝の極みだが、それがあまりにもガイナスターらしい言い方なので、思わず笑ってしまう。
「君にそこまで言ってもらえて光栄だよ、ガイナスター」
「本心だ。二度と裏切るんじゃねえ」
 ウィルザ自身にも釘をさしておくことを忘れない。つくづくできた国王だ。
「いいだろう。ガラマニアの援助などなくとも関係ない。お前が俺と切れるということは、あの男の援助も切れるということだ。いいんだろうな」
「ははははは」
 ガイナスターは相手を馬鹿にするように笑う。またしてもイブスキは怒りで顔を赤くした。
「何がおかしい!」
「お前がそんな得体の知れない男に頼っているという事実がだ。俺はあの男を頼みにしたことなどない。有意義な情報を持ってくるからその間利用しただけのことだ。あの男を頼っているのなら早めにやめた方がいい。いつか身を滅ぼすぞ」
「貴様、あれだけの世話を受けておきながら」
「俺は最初から一人でアサシナを倒すことしか考えてねえ。誰かに利用されるのは真っ平だ。信頼できない相手は利用するべきであって、協力するのでも信頼するのでもない。俺にとってはお前も、利用価値のある間はうまく動いてもらったがな」
 もうイブスキには利用価値がない、と言っているのだ。つまり、最初から協力しているつもりなどなかった、と。
「ガイナスター!」
「王、だ」
 ガイナスターはもはや言葉は不要とばかりに剣を抜く。ちっ、とイブスキは舌打ちすると身を翻した。
「この場は見逃してやる。だが、次に会うときは貴様等を全員地獄へ送ってやるからな!」
 あまりにも情けない捨て台詞だった。
「追いますか」
 ローディが尋ねる。
「いや、クノン王子を助けるのが先だ。それに──」
 自分たちはアサシナに向かうわけにはいかない。ガイナスターは隣国の王、ローディはイブスキに協力し、自分は脱獄者だ。このままアサシナを離れるのが一番だ。
「お前たちの身はワシが保証しよう」
 ミジュアがウィルザの考えを先読みして言ったが、ウィルザは首を振った。
「いえ。ぼくたちはしばらく身を隠します。その方がお互い都合が良さそうですから」
「うむ……」
「ではミジュア様、地上までお送りします。その後は急いで王都へお戻りください」







第十話

運命の再会







 逃亡が始まった。
 どうやらアサシナ側には『ガイナスター王が来ている』ということが伝わっており、さらには大神官ミジュアの誘拐を手引きしたのがローディであることも分かっているようだった。
 おかげで辺境をひたすら逃げに逃げ続け、目指すガラマニア方面とは反対の南側の山中へと逃れてきていた。
 この世界に来てからもう、二週間という時間が過ぎていた。

「まさかこんなにあなたと一緒に行動することになるとは思わなかったわ」
 休憩中、はあ、とため息をつくサマン。そう言いながらも彼女はこの逃亡を楽しんでいるフシがある。捕まったら即死刑もおかしくないというのに、何の罪も犯していない彼女は逃亡する気配すらない。
 何故ついてくるのかと尋ねたら「ここまできて放り投げていくのは寝覚めが悪い」と言う。
「ぼくも正直驚いているよ。これからどうすればいいのか、皆目見当もつかないし」
「あなたで分からないのならアタシはもっと分からないわよ。どうするつもりなの?」
「ん、とりあえずはガラマニアに行かないといけないんだけど、ガイナスターのアジトもどうやら完全に制圧されてしまったみたいだし、今のところ逃げ道は塞がれてるって感じかな」
 このまま捕まれば間違いなくジ・エンドだ。この辺りも既に包囲網が敷かれている。こんなことなら素直にミジュアに身を任せればよかったと思わなくもない。
 だがその場合、ガイナスターの処遇はほぼ決まっていただろう。クノン王子を亡き者にしようという計画に隣国の王が加わっていたのだ。外交問題としては大事どころではない。そしてガイナスターの命はまず保証できない。
「すみません、私が足を引っ張っていますね」
 ローディが頭を下げる。
「まさか。ローディは回復魔法ができるから助かってるよ。君がいなければぼくらはとっくに捕まっていた」
「ありがたいお言葉です」
 ただ、ローディの言うことも理解はできる。この中で一番足が遅いのがローディだ。装備はできるだけウィルザが持つようにして足を軽くしているのだが、それでもガイナスターやウィルザには追いつかない。サマンですらきちんとついていっているのに。
「ま、もとはといえば問題はガイナスターなんだけどさ。もちろん冗談だけど」
「大神官を助けに行かなければこんな包囲網を敷かれる前に逃げ出せたがな。無論冗談だが」
 ふふん、とウィルザとガイナスターが目を合わせて笑う。こんな憎まれ口を叩いても険悪にならないのは、結局仲がいい証拠なのだろう。
「で、どうするんだい、ガイナスター」
「とにかくやりすごす場所が必要だ。この辺りには村もないから隠れる場所が少ないが」
「民家なんて逆に目立つわよ。包囲網を抜けるのが一番」
「とはいっても、そんなルートがどこに」
「ん、このままいってもジリ貧よね。だったらいっそ、やってみるか」
 サマンが立ち上がる。どうするつもりだいと尋ねると、考えがあるとだけ答えた。
「さ、移動するわよ。早く片付け片付け!」
 片付けるといってもすぐに移動できるように荷物を背負うだけだ。そして、四人はまた移動を始めた。
 しばらく進んで見えてきたのは、険しい崖だった。
「ここを下りて、谷底を下流に向かえば包囲網は逃れられるわよ」
「下りるって……なあ」
 断崖絶壁といえばいいのか、あまりにも険しい崖に、さしもの男性陣も鼻白む。
「今、命綱を準備するから。ウィルザはそこの木にロープを引っ掛けて。回収できるように、ちゃんと輪っかにしてね」
「了解」
 ここまできたら自棄だ。やるしかない。
「最初にアタシがいって、状況を確認する。そうしたら陛下、ローディ、最後にウィルザの順番で降りてきて」
「ぼくが最後?」
「うん。ウィルザは脱獄以外悪いことしてないでしょ? 陛下とローディは捕まったら即死刑だもの」
「言ってくれるな、盗賊」
 ガイナスターが顔を引きつらせるが、サマンは一向に気にしない。
「じゃ、先行くね」
 命綱を男性陣に装着させたサマンはさっさとロープを下りていく。二十メートルほど下りたところで谷底に到着。ロープが引かれる合図があって、ガイナスターから下りていく。
「大丈夫でしょうか」
「ま、サマンのことだから大丈夫だと思うけど」
 ガイナスターが下りて、さらにローディも下りていく。三人目が降りた、ちょうどそのときだ。
「あそこだ!」
 見つかった。
 アサシナ兵の声が間違いなくした。崖下ではない。自分のいるこの場所。
「ウィルザ、早く!」
 すぐにウィルザはロープを下りる。急いで崖を下りるが、慣れない行動に体がうまく動かない。もどかしい。
 最後三メートルくらいになると、ウィルザは思い切って飛び降りた。膝を曲げて着地する。関節がきしんだ音が聞こえたような気がした。
「ロープ回収OK!」
 ガイナスターが言う。サマンが「急いで!」と号令をかけた。ウィルザは痛む足にかまわず走り出す。
「撃て!」
 崖の上から銃が放たれる。このままでは狙い撃ちだ。早く隠れられる場所まで移動しなければいけない。
『ウィルザ』
 突然、世界記から言葉が届いた。
『ガイナスターが、撃たれる』
(な)
 振り返って崖の上を見る。一人のアサシナ兵がライフルを構えている。銃身が長い。かなり正確に狙えるスナイパーライフル。その銃口が、ガイナスターを狙っていた。
「ガイナスター!」
 思わず、ウィルザは突き飛ばしていた。そして、かわりに。
(ぐっ)
 撃たれた。
 致命傷、ではない。きっと回復魔法を唱えれば治る。
「ばかやろう、何してやがる」
 ガイナスターがウィルザの腕を取った。
「君が傷つくのは、まずいだろ」
「お前が傷ついても同じだろうが!」
「回復を」
 ローディが駆け寄るが、サマンが「駄目よ!」と叱る。
「ここで回復してたら狙い撃ちに合うわ。もう少し行けば銃も届かないし、隠れられる。あと少しだけ、我慢して!」
「ああ、大丈夫」
 ウィルザは撃たれた腹部を押さえながら走る。熱い。力が抜けていく。
「こっち!」
 目がかすんでくる。サマンの声に引かれるようにして、走る。
 崖の影に入ったところで、ウィルザがついに膝をついた。
「止血するから、鎧を剥ぎ取って!」
 ガイナスターが胸鎧を外し、ローディはすぐに回復魔法を唱える。そしてサマンは白い布を取り出すと、ためらわずに傷口に当てた。
「ぐあっ!」
「押さえて!」
 ガイナスターが暴れるウィルザを押さえつける。その間にもローディはただ回復魔法を唱え続けた。徐々に傷口は塞がっていくが、それでも流れた血液は戻ってこない。
「完全に出血が止まったら、移動するわ」
「本気か。かなりヤバイぞ、これは」
「このままここにいて捕まりたいの? ガイナスター、ウィルザはあなたに捕まってほしくなかったから命をかけたのよ? あなたはそれを無駄にするつもり!?」
 サマンの本気の怒りに、ガイナスターは「悪かった」と答えた。そして「俺が背負う」とも。
「当たり前よ。あなた以外にそれができるはずないでしょう。鎧は残念だけどここに置いていくわ。荷物を少しでも軽くしないと。ガイナスターの荷物は私とローディで分担。速度が遅くなるから、かまわないでしょ?」
「ええ。この非常時にできないなどと言っていられません」
「いい覚悟ね。じゃあ二人とも、行くわよ。すぐにでも移動しないと、やってこないとも限らないから」






 そうして包囲網を抜けた一行は、森の中にあばら家を見つけ、その中で一泊することにした。
 三人とも体力的に限界だったし、ウィルザを休ませなければならなかった。既に意識のないウィルザであったが、血液が足りないだけで、それも命に関わるほどではない。二、三日休めば普通に動けるようになるだろう。
 問題は、ここに二、三日も休んでいて、再び包囲網を張られないかどうかという心配だけだ。それについてはサマンは「大丈夫でしょ」と言う。
 いずれにしても、これ以上の逃亡は限界だし、風を凌げるのはありがたかった。今日はここに一泊する他はなかった。
 ベッドになりそうな台を見つけて、そこにウィルザを寝かせる。火をおこして冷えた体を温める。
 そのときだ。
 こん、こん。
 扉を二度、叩く音。誰かが、このあばら家にやってきたのだ。
(アサシナ兵?)
 三人は目を見合す。もしそうだとしたら、倒さなければならない。
 外にいる人間の気配は一人だ。それなら充分に倒せる。
 中からの返事がなかったせいか、その扉は外から開いた。
「あ……」
 そこにいたのは一人の女性。それも明らかに旅人の格好。
「すみません、人が住んでいるとは思わなかったものですから」
 女性がぺこり、と頭を下げた。
「ううん、アタシたちも同じ。ちょっと怪我人がいて、勝手に使わせてもらってるだけだから」
「そうでしたか」
「アタシ以外全員男で申し訳ないけど、宿にするつもりなら一緒にどうぞ?」
「はい。ありがとうございます」
 そうして、その女性は入ってきた。ガイナスター、ローディと視線が移り、そして寝台の上の人物に目が行った。
 その女性の目が、真剣なものに変わる。
「……どうして、ここに」
 女性は荷物を玄関のところに置いたまま、ウィルザのところに駆けつけた。
「トール」
 女性の目から、涙があふれていた。
「トール。私よ、ルウよ。トール、トール……」

 突然の展開に、三人はどうしていいのか分からず、ただ二人を見つめていた。







かつて別れた女性の登場。
そして、意識を取り戻したウィルザは、彼女と対面する。
二人の間でかわされる言葉。
世界は徐々に、歪み始める。

「愛している……と思います。でも、怖い」

次回、第十一話。

『風の行方』







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